空の表紙 −天上のエクレシア−
手の平
―――――「ピッキーノが弟王…?!
何でそんな事する意味が…。」
シィラの横で画面に見入りながら
ノアールが答える
「知らなかったのか兎」
「うん…だって最近は
ずっと居たみたいだけど
マドゥー家本宅は
元々あそこじゃないし
何かある時はフリートが行ってたし
…ピッキーノの顔よく知らない…」
白兎が頭を抱える
「とにかく
王弟をよく知る人間が
参加してくれた事は大助かりだよ
事と顛末を簡単に話そうか」
――あの日の爆発
その場に居た人間
『本』の存在
光での異形化
もう『本』を開かせない為に封印
しかし王弟が
軍を墨と化しながらも掘り起こし
神殿の鍵石を手に入れた事
その力を
何かに使おうとしている事―――
白兎はガラに問う
「あの…『本』って
空をそのまま切り取って来た
みたいな奴?」
「…『子供』に見せて貰ったかい」
白兎は頷き、そこで見た物を話す
それを聞きオデッセイは
ノアールを見つめる
「子供には無限の可能性がある
『本』と同じ性質のもの
だからこその光の無効化か…」
「あの、ウサタンその時、
『子守歌で本を眠らせる為に
歌声をあげた』人が居ると
聞きました。
…貴女ですか?ガラ。」
「ああ。」
オデッセイがガラを見つめる
「……。」
ガラはゆっくりと立ち
全員を見回す
「皆が元に戻るには
もう一度『本』を開いて
同じ方法で『力』を返せばいい
…本気で願うんだよ
でなければ力は止どまり
いずれアンタらを
食い尽くすかもしれない…
私も初の事で
これ以上はわからないんだ…」
皆黙ってそれを聞く
「はい。ウサタン質問。
でも『本』を起動させるには
『唄』が要る
『声』をあげちゃってる今
どうやって本を起動させるんです?」
「とても原始的だよ
本が熟睡している隙を狙って
『声』を取り戻す
そして目覚めちまう前に
唄で本を開いて
力を返せばいいんだが
どれ位で目ぇ覚ましちまうかは
私にも解らない」