空の表紙 −天上のエクレシア−



―――哀しい『鳴き声』が聞こえて
そちらに向かった


そして怪我人を
シィラに頼み


―――私は急いで『本』を閉じ

石をはめ
『眠りの唄』を歌った


―洞窟も閉じなければ―

村人に伝えなければと
そこから出ると



――激しく燃える村の高台に

…奴が居た



剣の先には
赤黒い血

銀の髪を――
緋色に燃える炎からの風に
煽られながら



お前は私を見て

――――… 微笑んだ








―すぐにわかった


―――けれど 何故だ……

何故お前が村を………

何故
あんな風に


微笑んだんだ……






―――サリュが
無言で下を向くガラの側に駆け寄る

そして周りに対して
ぶんぶんと首を振った




「あ!ななな!
皆も、ばーさんもさ!
俺あれやってから行きたい!

さっき家の『てれび』で見た、
皆で手併せて『おー!』って奴!
スクラムスクラム!!」



ノアールを白い目で見つめる


「うっわ!
何それ皆してっ!
もういいわよっ!」

「あっあっ!ウサタンそゆの好き!
やろやろー!」


端に行き
二人だけで手を合わせ
「おー」と声を挙げるが
『…なんか違わないか。』
『…うん』と虚しく呟く


「あ。そうだばーさん!
俺も何か
武器持って行きたいんだけ………」


「…どしたんー?
ノあ……!?!」




< 138 / 227 >

この作品をシェア

pagetop