空の表紙 −天上のエクレシア−


黒いケープを取り
そこに立っていたのは

――裸体のガラだった


「私も剣の訓練は受けてる
少しでも手勢が増えた方がいい」


そう言うガラは
周りの視線など気にせず
胸当ての鎧を着て
また黒い衣服を纏い
腰に剣を差す


「あえわわわ!いや!!!
……ガラさんて
お若かったんだなーって思て…
ほら!……お声が、その…。」



「オレは知ってた。最初に会った時。」


ノアールが膝をつく

「……ひどいぜ
ずっと俺に隠してたなんて…」


「え。あ。いや!ノアール
隠してた訳じゃない。
声聞く度に皆が
気を使うかもと思って…」


ジークが呟く
「……気を使わねばならん場面が
違うぞ」



ノアールが叫んだ
「ひどい…
そうやってアタシを油断させて
ずっとこの若い体を狙っていたのねっ!!」

「んなわけあるかーーーっっ!!」



「ガラ。一応国の術士達には
連絡取って守りを固めて貰う事になった。
忙しなるよ」

そう言うシィラの前の
幾つかに分割された画面には

―――親指を立てた
沢山の術士達の顔が映る



「ええええ!!?…なんか…
なんかオレ感動してきちゃった…。」

オデッセイは瞳を潤ませた


「…後でお礼をしなくちゃな…」

ジークが背革を合わし
斧を背中に差す

ガラが輪を描く。
全員を一度に運ぶ大きな輪だ
術士の何人かが
出口になる輪を、町外れに
描いてくれている


――皆が話し合う中
ぽつりと取り残されていた
サリュが口を開く


「…わたし。
わたしは何したらいい?」


オデッセイが微笑む

「サリュは残ってて貰える?」


「…」


「かっこよく付いてこーい!
て言いたいけど
前のオレなら言ってたけど
今回は何が起こるか解らないから
もうそんな事は言えない
…ごめんね」


「行くぞ ヨピ」
輪の中からジークが呼ぶ



輪が回転し
転送が始まる


一度中に入りかけたオデッセイだったが
くるっと振り返り
サリュの腕を取って引き入れた


皆 笑った






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