空の表紙 −天上のエクレシア−
「え」
馬車から
降りかけた自分の足元を見て
ルビナ自身が驚く
宝石が散りばめられた
紅色に透ける硝子の靴
姿を確かめて見れば
赤いドレスを身に纏い
頭上には
紅玉で埋め尽くされた
ティアラが冠せられていた
―ピッキーノはピッキーノで
絢爛たる王冠と
洋服は、
あの日例の吟遊詩人が着ていた
黒いローブその物を
身に纏っていた
髪も黒い長髪になっている
「どっ…どうして?!」
その様子に気が付いたフリートが
おかしそうに笑う
「ふふ。
発する所は違えど
お二人の望みは同じですか。…
多分、『王子様とお姫様』
…合ってます?」
ルビナはその言葉で勘付く
「多分て…
もしかして…
フリートさんには違うのに
見えてるの…?!」
フリートは
ルビナの上から下まで眺め見ると
ニッコリ微笑みこう言った
「ええ。
…教えて欲しいですか?」
ルビナは
先程フリートから言われた言葉も
思い出し、全身をカッと熱くさせる
何かとんでもない物に
見えていそうで、
聞きたくもなかった
ピッキーノは道の先頭を
意気揚々と
誰も居ない筈の、道の両脇に
手を振りながら進む
「やあやあ!諸君!
出迎えご苦労!!」
何も見えない暗闇の筈なのに
歓声とそれが見えて来た気がして
ルビナはぎゅっと目を閉じた
「……いじめすぎましたね
単に私には、
映像の目くらましが
効かないだけです」
「…………」
―――三人は
神殿の扉の前に到着した