空の表紙 −天上のエクレシア−
ルビナから見れば
そこは洞窟の奥にある神殿で
さほど大きくない扉があり
所々に小さな青い石
その石から、溝が引かれていて
アミダの様な線が幾つも伸びている
扉の中心には
丸い何かをはめ込む様な
窪みがあった
「さあ王。石をこちらに
そして中で彼ら…
『彼女』を待ちます
こちらに向かっている筈ですから」
「うむ!…あ」
「どうしました?」
「うっかりだ…。
いやな?
フリートは常に肌身離さず
あの石を持っていろと言ったが
この勇敢な私から
奪う事は出来んとしても
誰しも紛失の可能性はあるだろう?
だから誰にも解らない場所へ
隠したんだが。
今日の急な婚礼のせいで
俺らしくもなく慌ててしまってな!
持って来るのを忘れてしまった!」
一瞬フリートが
眉をしかめた様に見えたが
すぐに穏やかな微笑みで跪く
「…解りました
私が行って参ります
どこに行けば?」
「うーん、
あれを私以外が開けられるとは
思えんが…。
ここへの秘密階段がある部屋の」
「壁の上ですか」
即答するフリート
「うお!!なぜそれを!!」
「…では行って参ります」
しかし言葉と同時にフリートは
ピッキーノの額に手を当て
眠らせてしまった