空の表紙 −天上のエクレシア−




――――――――街の瓦礫


アクアスは
マナに片手で引き摺られたまま
叫び地面に俯す


「っく…いたぃ…。
手が痛ぇよ…。
何しやがんだよ…。」


「…まるで
群れから離され怯える子羊の様…。」

マナは手を放し言葉を続けた

「…アクアスさん。
貴方は何がしたくて
剣士を目指したのです。」



両脇を突いたままアクアスは呆然と
口と目を開く



「…兄貴が… 剣を買って来たから…。」



素振りしてるの見て
楽しそうで…。
俺も振らせてくれって言った…

そしたらそのうち俺も楽しくなって
でも兄貴の剣だから
ずっと使っては居られなくて…

やっと自分の剣を買った時は
絶対に触らせなかった…。


…そのうち兄貴は軍に入った…

話聞いてたら楽しそうだし
ジークが出来るなら
俺のが努力家だし!
技の情報も沢山集めたし!
練習だってするしさ!

…それなのに

皆こう言うんだ!!

「ジークの弟だよね」

「御兄様はお強いですねえ」!!

…まだだ!!俺は今弱いだけだ!

当たり前だろう?!
先に向こうのが生まれてんだから!!
何やるんでも先に
俺より見るのも知るのも奴なんだから!!!」




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