空の表紙 −天上のエクレシア−


そしてアクアスの体でも


『カチリ…。』と
何かが外れた様な音がした


(――………なんだ?


ひざまづいた膝をあげると
鎧がガラガラと
前後左右に割れて
呆気なく脱げてしまった


「うわっ?!!
えっあっどっ どうしよう!!!」


「 ……よかった〜!!」

マナが
アクアスに抱きついて来た


「えっ?!え、あの!!」

アクアスは顔を
真っ赤に染める


「気分はどうです?アクアスさん!!」

「…き、気分…」


――そういえば
なんだか頭が
軽くなった気がする

なんだか
変な靄が被ったみたいな気分に
ずっとなってた…


「……ちょっと失礼致しますわね」


そう言ってマナは
砕けた鎧を拾いあげると
腰から取り出したナイフで
ギッ と傷をつける


「………あ 」

削れたのは、
水色に塗装された表面

その奥の
鉄板の様な物は真っ黒で
まるで空を切り裂いた向こうの
闇の様だった


「……闇鋼鐵です。
これを
長時間みにつけているとね
思考も闇に
染まって来るんです」


「ど………え………

どういう事だろ……
え、でも、何でこれ
外れたんですか?!

マナさんが外したんですか?!

あ、お、お願いします!!
サリュの手枷
外してあげてください!!
俺、その為なら何でもやります!!
荷物運びでも
釜焚きでも何でも!!
肩も揉みます!!
お願いします!!!」


――マナは
アクアスに肩を揺らされながら
綺麗な手で口をおさえて
くすくすと笑う

「……私が外したんじゃ
ないですわ
貴方が、自分で外したのよ」


「……自分で…?」

「うん。
何時もの貴方に戻ったわね」

「いつもの……」


マナは指先で
アクアスのおでこを突く

「…皆、遺跡にいるわ
異変はだいぶ前から起こっていて
もし今回、
それを止める事が出来なかったら
『世界の終わり』が来る」


「…世界の終わり…」


――アクアスは
妖しい雲に包まれた 空を見た





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