空の表紙 −天上のエクレシア−



衣装部屋。

「見ろ!
なかなか似合うだろう!」



巨大な姿見の前で
くるりと回り
花嫁の幸せを
満面に浮かべたイザベラが
アクアスに問う

しかし何かがおかしい。

「あの…
それ前見た時、
ルビナが着てた奴ですよね
…あ。」

一瞬まずかったかなと思ったが
髪に花を模した飾りを挿しながら
イザベラはご機嫌だ

「うむ!
シャイなピッキーノの事だから
直接私に言えず、
あの者に
仮縫い試着を頼んだのかもな。

…このリザの花の髪飾りが
私への贈物だと言う証拠だ!」

「あ〜…。リザ。
『イザベラ』の愛称ですね」


「うむ!
さあて!行くぞ!
付いて来い!」

イザベラは
鏡台に置いてあった『袋』を取ると
何故か部屋の奥へと進み始めた


アクアスは後ろから付いて行くが

…丈が短いドレスだな

(…まあウエディングドレスって
流行りとかあるらしいし…


いきなりイザベラが
『ふう。』と息を吐く

…胸が苦しいらしい。


「ここだ。入れ」

「え」

「早く」

「あの…ほんとにここ
入るんですか…?」

「しつこいぞ!」

「だ…だってここ箪笥…
わあああ?!」



―――蹴り飛ばされた




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