空の表紙 −天上のエクレシア−






「いっ…てぇ…」

「足元に気をつけろとあれ程…
言ってないな。
済まなかった。」


「うう…」

腰を擦りながら暗闇を進むと
光が射し森が広がっていた

「うわ…すごいなあ…」

「本当だなあ!迷いそうだ!」

「え
もしかして初めて来たんですか?!」

「うむ。
前あそこに入った時は
こんな場所なかったからな。」

「ひいいーー?!」



――――森を進むと
小さな教会が見えた


「あそこだ!!早く行こう!」


イザベラはアクアスの手を取り
駆け出そうとしたが
『ん』と足を止めた


「ふむ…。アクアス。
そなた、それは鎧を脱いだ
布の防護装備だろう

婚礼への参列に、
その軽装は如何なものか。

―ピッキーノはあれで
服装にはうるさいからな。

高貴な参列者の方々が
御揃いだろうし…。
またこの前の様な蔑みに
会うやもしれん。」


アクアスは
『確かに』と
自らを眺めたがパンパン。と胸を叩く

「あ〜…。いいんです
…これが俺ですから。」


イザベラは、暫くしてから
ちょっと困った様に微笑み
しかしアクアスの背をパンと叩く

「…もし何かあったら
わたくしがまた助け船を出してやる。
だから喧嘩等して
式をぶち壊すなよ?」


「はい。」


しかしふと思い返す

…俺 何しに来たんだっけ…?




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