空の表紙 −天上のエクレシア−
―――――――サリュがじっと
白兎を見つめる
「へ…?
この魔物は
俺達が呼んでるって言うの?!
どゆこと?!」
夕暮れになりいきなり現れた
巨大蝙蝠の軍団が襲い来る中
法術士達が壁を張り、
セフィラと仲間達が、後方から
撃ちまくる
白兎はサリュを後ろに光魔法で
応戦する
横ではギン親方も
鉄の棒をぐるぐる振り回し
骨の怪物を粉砕しながら叫んでいた
「うおおお!!殴らせろーーっ!!」
サリュは白兎に言う
「おんなのひとを、
いっぱい集めないとだめ。
そして壁をつくるの」
(…わけが解らない。
そう白兎は思ったが
オデッセイが洞窟へ向かうと
言った時に
『サリュのいう通りにして』と
告げて行ったのを思い出した
「…わかった
女の人を集めればいいんだね?」
「うん。」
サリュはコクリと頷く
―――そして
同じ魔物の進軍の先頭で
今しも踏み潰されそうになりながら
ぐちゃぐちゃに泣き腫らした顔で
ヘナヘナと座り込む男が居た
側には
スケッチブックが開かれたまま
――魔物が現れた瞬間
間違えようも無いそのままの
自分の絵だと確信した―
元々は
自分の絵から生まれた物ならと
写生して破ったり
違う姿に変えたりもしたが
一向に消える気配が無かった
「どうしてだよ…。
俺が生んだのに何で…」