空の表紙 −天上のエクレシア−



――オデッセイは拳の骨を鳴らす

それに対して
押さえ付けられたままのフリートは

「酷いな…多勢に無勢だ」




オデッセイはニッコリ微笑み

「御冗談を。」


その隙に
ガラが扉の前に走る

そして何事か呟いた


――すると
『教会』に見えていたその場所は
上から溶けて行く様に色彩が消えて
薄暗い、鍾乳洞になってしまった



―神殿―

中央にある
祭壇らしき台に向かい
階段を昇る

十二羽の鳥に支えられた
土壺の水盤


ガラが蒼白い光を放つ丸い石を
それの空洞に填め埋めると
四隅から溝を通って光が走り
青い石に集中した

嗄れた声で何か言っている
意味は解らない


しかし詠唱が終わった途端に
玉からの光が、また溝を逆走し
部屋全体が輝く


「…来るか」
ジークが呟く

ズシン…と衝撃音
―青い光

オデッセイが少女達の前に回る
「二人共、後ろおいで」

「ひゃあっ!」

ルビナが叫び体を屈めた

イザベラは石が手から離れると
自らが居る場所が暗闇と
解ったからなのか
震えながら頭を抱え座込んでいる



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