空の表紙 −天上のエクレシア−



ガラは 笑って
―――― 自分の腕を外して見せた


「っ……!!ヒィ?!」

ルビナは驚いて
尻餅をつく


「……『世界の終わり』から
私は来たんだよ」



「世界の…終わり…?」



「…ああ
『機械と火』の世界で
私達は造られた


『世界の終わり』は突然やって来て
私達『人形』と
いくばくかの人間たちが残った


そして時は流れて
人は増えて行き、『村』がうまれ

『国』が出来て

この
『青い空と魔法、石畳と剣の世界』が
誕生した


代々『王』にだけ
『本』の存在は伝えられて来たんだ


…ねえ?ルビナ
聞いてくれるかい?

むかーしむかし
不思議な『箱』が沢山あったんだ……

それは世界中に繋がっていて
どんなに離れてても話ができる

異形化とか、
なんだとか、
そういうんじゃなくてさ…
ちょいと仮の姿で遊べるんだ


竜に乗れたり
魔法が使えたり
本当は男だけど、女気分味わったりさ

そして元気を貰って現実に帰るんだ……
素敵だろ?」


「……うん……
面白そうだけど…

逢えないんでしょ?

もし…もしもそこで出会った人を
好きになっちゃったりしたら…?」


「いいじゃないか」

「え…。」

「…アンタにはさっき
オデッセイが何に見えた?」


「え?…何って、
ちょっと驚いたけど…
あれはあの人だもの」


「―――なら大丈夫だ
…アンタは『ありのままの心』が
見える子だから

だからこそピッキーノも
あれだけ夢中になんだろうね…」



―グラ。
と天地が回転する


―――そして地響き

轟音にルビナは耳を塞ぐが
それに混じって聞こえて来る

『声』に気付く


「これって…」

急いで立上がり
その『声』の方角を探そうとする


「いかん!
本がまた鳴動を始めた!私は行くよ!」


「うわ!ダメ!!行っちゃダメッ!!
お…お母さんが子供達を捨てたら
絶対に駄目ええええっ!!!」






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