空の表紙 −天上のエクレシア−
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『…ガラ。神になろうって?』
崩れた闇から二人を覆う様に
黒い翼が広がる
『お前間違ってる。』
「…説教なんかいらない」
『違う!神になるなら俺でしょ?』
「…言うと思った…
でも私は考えを変えないよ
エゴかもしれん。
やろうとしてる事はピッキーノと
変わらないかもしれない
…それでも…」
ルビナの脳裏に浮かぶのは
――目茶苦茶になっていた街の風景
血の海に倒れたノアールの
悔しそうな横顔
フリートの剣に
切刻まれながらも堪えるジーク
門番に取り押さえられ叫ぶアクアス
必ず門を通る時に花を買って
おどける大きな体の白兎
瓦礫を持ち上げ
皆の避難口を必死に確保する
親方
闇兵に
小さな体で立ち向かって行ったユピ
炎を掻い潜り
やって来たであろう
煤に汚れた姿で
皆に武器や食料を配る
マナと踊り子
澱んだ噴水の中に
手を突っ込んで靴を取ってくれた時の
サリュの笑い顔
―そして今
解いていない乱れた金髪と
粗末な黒い外套で
崩れて来た黒い闇の壁から
庇い続けてくれているオデッセイ