空の表紙 −天上のエクレシア−
「退きなオデッセイ!
ルビナを連れて逃げな!!」
『…うるせえ黙ってろ!!』
瞳の虹彩が真っ赤に変わる
薄明るい緑に発光して
翼を大きく広げる
狭まって来る空間を広げようとするが
闇は翼を喰い破って
押し拡げ、そこから血飛沫が飛ぶ
ルビナが叫ぶ
「オデッセイさん!!!」
『ん。だーいじょぶよ。』
横腹を闇の剣で突き抜けた
―吹き出す鮮血
続けて太腿
――肩
ルビナが叫びながら
慌てて手で押さえる
「ち…血が止まらないよお…!!」
『…っ!』
オデッセイの足が
幾つもの黒い腕に掴みかかられ
ルビナから引き離そうとした
腕はルビナにも
ゾロリと延びて来る
ガラはそれを思いきり噛み
動きを止めるが
突然何かに貫かれた様に
バリバリと紫色の稲妻を出して
その場に倒れた
「!!」
「ガラ!!!」
『…サブシステムマシンに
ハッキング確認
―修復不可能―
―修復不可能―
切り捨てます。』
―見開いたままのガラの目から
徐々に光が消えて行き
そして完全に、
――――動きが止まった