空の表紙 −天上のエクレシア−
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―…赤い…―
赤い夕焼け。
黒いシルエットの魔物達が
碧く実り始めた小麦畑を
踏み潰して行く
畔の細道には
幾人もの女達
その中にはサリュがいた
「歌をうたうの。みんなで。」
女達は、騒ぐ事なく頷く
――示し合わせた訳では無い。
少しずつ声が重なる。
それは
この国に古くからある
女なら誰でも歌える『子守歌』だった
星が光始めた夕暮れに
それは小さく、
だが さざ波の様に広がって行った。