空の表紙 −天上のエクレシア−
――――――「…なんで…?」
夕焼けに照らされながら
頭上を見上げるガーネット
「…なんで…
俺が何言っても皆止まらなかったのに…。」
その一群が突然進行を止めた
―聞こえて来たのは
『子守歌』
魔物達は低い唸り声を出して
立ち止まっている
ガーネットはボロボロと涙を流して
笑い出した
「……………あ…ああ
…………―そうかぁ…」
ごしごしと顔を拭き
スケッチブックを開く
―描いたのは『家』
窓からは
優しそうな父親と母親
暖かそうなスープとパン
そこへと続く一本道
―…玄関は開けておいた。
闇夜の畔道に忽然と、灯が灯る
―魔物達は―
麦の穂を振り指揮を取る
白い麻服のサリュに誘われ
ゆっくりとそこへ向かって歩き出した
体を揺すって、とても楽しそうに―