空の表紙 −天上のエクレシア−
――硝子の向こうが
見慣れた青と白に埋まる
慌てて下を覗き込んだ
「……海と陸だ!!」
海図そのままのそこに
一気に安心する
深い息が漏れた
一度はしゃがみ込んだが
勢いよく立ち上がる
外に出られる場所が無いか探す
いくつか、勝手に扉が開く場所を抜けた
倉庫から弾薬を出す時
いつも大変だから
軍舎の倉庫もこれにすればいいのにと
少し思った
広い庭園みたいな場所についた
やはり天井は
高い硝子張り
植物が沢山生えていて
鳥の声が聞こえる
陽射しも入って来た
貴族の館の、テラスとか
庭園に似た場所
そこの真ん中に、平らな一本道
白いそこを歩いて行くと
取っ手のついた
小さな扉
見知った物に出会えて
アクアスはそこに駆け寄る
ガチャリとそこを開けると
激しい風圧で
バン!!と扉が向こう側へ開き
自分も取っ手に引きずられてしまう
「うあっ!!!」
そこは辺り一面真っ白で
視界が利かない
髪も顔の皮膚も
強風でぶるぶる震える
態勢を低くして
何とか扉を閉めた
「……び、びっくりした…」
徐々に風が凪いで来る
乾いた目から涙が出て来て
アクアスは子供の様に思い切り擦る
――山の上みたいだな
そう思った
暫く白い空間を分け先に進むと
霧に同化する様に
銀髪の主が
甲板の切っ先で
風に独り 殴られて居た