空の表紙 −天上のエクレシア−

「 皆は生きてる

――私が飛ばした

ただここに居ないとすると
皆『自分の行きたい世界』に
飛んでるかもしれない

皆があそこに戻りたければ
戻っているはずだよ


……ひと時でも
私の元に飛んで来てくれて
嬉しかった…アクアス」




「待って!!!
――隊長は………どこへ」



「…ガラを探しに」

「探しに…って!!
どこに居るのか解ってるんですか?!」



「……さあ
でも絶対にわかる

姿やあらゆるものが、
全て違っていても
どんなに離れていても

――だから捜すんだ
きっとガラも私をわかってくれる


…きっと彼女はそこでも
歌を唄っているだろう

声を聞けば、絶対にわかる


……唄っていなければ
私がまた…何事をも行い
青空の下で歌える様に、護る

それが………私の
たったひとつの願いだ」







トン。と 飛ぶ音



雲間から幾筋かの、光が差し込む


フリートは
それに同化するかの様に
一筋の光と、
霧の様な光の粒子だけを残し

ゆっくりと目前から消えた





―――アクアスは
俄か青に染まって行く空の元

船の手摺りに駈け、しがみついて
遥かに向けて、叫ぶ


「隊長…
たい…
たいちょおおおおおお!!!!!
うあああああああーーーーー!!!
ばかやろおおおおおぉぉぉぉ!!!」












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