空の表紙 −天上のエクレシア−





――――――何処か遠くから
微かに聞こえて来る
女達の子守歌



青の中心でルビナは
『本』を抱いている


しかしそれはすぐに
激しく泣き叫ぶ
赤ん坊に姿を変えた



ルビナは
その子守歌に合わせて
歌い出す
―優しく語りかける様に―





―……ずっと泣いてたのに…
来るの遅くなってごめんね…。





―赤ん坊の泣き声が
寝息に変わると共に
あんなに激しかった揺れも
収まって行く



「なんで…こんな事で…
収まるなんて…」


白兎が呆然と壁に張り付き
ズルズルと座り込む




―微かな笑顔を
赤ん坊が見せた瞬間


青い光が景色を包み

世界が

カーテンをひいた様に
一面の青空に変わる―。







< 206 / 227 >

この作品をシェア

pagetop