空の表紙 −天上のエクレシア−



――――「こんにちはあ!!」

ルビナが馬車を降り
邸の門を開けて、くぐる

庭を駆け抜け抜けテラスを覗くと
髪を結び料理を運ぼうと
トレイを持って歩くイザベラがいた


こちらに気が付くと
イザベラは声をあげる

「おお!ルビナ!久方振り!
これからピッキーノの食事の
時間なんだ!
……だから…その…少しだけ
客間で待っていて貰えるか…?」

ルビナは
『見せたくないんだ…。』との
イザベラの呟きを
聞こえなかった振りして
声をあげる


「あ!あの!
お見舞いにお花持って来ただけなの!
仕事あるし、すぐ帰りますから!!」


ズロースが見えそうな程
おじぎをして走り去る

少しして
馬車の音が遠くなった


イザベラはピッキーノの寝室へ向かう

扉の前。
両手が塞がって困っていると
中からゆっくりと開けられる




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