空の表紙 −天上のエクレシア−


――――――メイジ通りは
賑やかな若者で溢れかえっていた


皆、
夜の星祭りで使うランプを求めて
露店に集まって来て居る

夜の道に燈る、星型の光は
とても幻想的で、美しい


――目に止まるのは
若い娘の多くが身に着けた
袖の長い
前閉じの、薄い衣服

腰には長いひらひらとした
色とりどりの帯が、風に揺れている


アクアスは
その流れを眺めながら
道の流れを進んで行った




『銀細工・マナ』
―ユカタにぴったりの髪飾りあります―


そんな表札の向こうを
アクアスは、チラリと覗く

マナは既に客の隙間から
こちらに気付き手を振って来る


店の前にはズラッと
その列が続いていて、
少女ばかりのそこを
バツ悪そうにくぐると
忙しく接客するサリュが居た


「アクアス。」

「あ〜…。
こんにちは!大繁盛だね!」

「うん。アクアスそこは。
通れない。」


「あわわわ!ごっごめんなさい!
わっ!!」


――誰かに引っ張られた

「奥。」

声に振り向くと
黒いケープの袖先が奥の部屋とを
仕切るカーテンから
手招きしていた




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