空の表紙 −天上のエクレシア−




――――夕暮れに、花火の音




ルビナが髪を結びながら
店奥から、窓の外の明かりに向かい
背を伸ばす


「うあ!もう始まってる!」


さっきいきなり白兎さんが
店にやって来て
親方を飲みに誘った


なんだか島で会った、
新しい知り合いが来るとかで
そして飲みに誘われたら、
親方が行かないわけが無くて…


―いつもなら
この日は、恋人に花を贈る為
店は夜から賑わう
だから行った事が無かった星祭


「…今年はいけるんだ」

少しお小遣も貯めたから
弟達に何か買って行ってやろう

ポケットに
三枚の銅貨を大切に入れて
メイジ通りを走り出した


――――南の港の飛行船乗り場

たまに配達で中に入る事はあっても
飛行船そのものは
眺めるだけ

何枚もの門があって
普段は厳重に警備されている


…銅貨一枚を握って
門の人に渡す
顔がちょっといかつい。
少しびくびくしながら、
切符を貰えるのを待つ

門衛さんは、切符にポンと
スタンプを押すと
ニッカリ笑って、渡してくれた

「行ってらっしゃい」

「…行ってきます!!」

手を振りながら
アーモンド型の船まで走った


―――――中に入ると、人、人

船の中は、
もっと無機質と思っていたのだが
大広間みたいになってて皆談笑している



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