空の表紙 −天上のエクレシア−
『いや、オデッセイさ。
『人間』が通れない
魔術で作った警備ドームを
擦り抜けて来やがった…
多分一度力を使うと元に戻るのにも時間がかかってる筈だよ』
「…他人事じゃねえな…」
『例の包み』の置かれた机を中心に
ノアール・オデッセイ・ガラ
少し離れた場所に
ジークが座る
『皆、これを付けな
ああ
オデッセイが付けている物と同じだよ』
ガラは机の上に、
赤い石の付いた腕輪を
人数分置いた
『あんたらも私も
例の光を浴びてるからね
包みの中身は、
…私らが封印したあの場所から
現国王が一部の兵隊を使って
掘り起こしたもんだ
…かわいそうに。
皆一瞬で異形化して死んだそうだよ
これはあの場所とアレをしなければ
『光』は発動されない筈だが
どんな影響があるかしれないからね
この腕輪の石はつけていれば
あの光が持つ凹の湾曲の波動に対して
凸の波動を働き掛け
波動の波を零に出来る
…私が唄を歌えない今
これ位しか方法が無いんだよ』
無意識に皆、『疵跡』を押えていた
それを察するかの様に
オデッセイが口を開く
「へーきでしょ。
オレ運んでる間、何もなかったし」
「…とにかくこれが無ければ
封印を解く事は不可能って事だろ
ひとまず安心って事か。」
そう言うとノアールはドサリとソファーに倒れ込む。
そして続けた
「でもよ。
何でいきなり今になって
遺跡漁りを国王は始めた?!
兄王を
隣国の仕業に見せかけて殺っちまった今
広大な土地も財産も権力も手に入れて
他の何が要るんだよ?!」
「…俺の異形化を見たからさ」
離れた場所に座り黙っていた
ジークの巨躯が動く