空の表紙 −天上のエクレシア−
城の地下にある
転送輪を使えば早いが
あれは使用に許可もいるし
人目に付く
「兵士さんは早く
持ち場に戻って。
ビディは誰か来たら
俺は酒呑みいったっていっておいて」
「え?!」
「俺一人で行く。」
「そ!そんなずるいーーー!!」
闇の中
白兎は二階の窓から飛び降りると
術に良さそうな『場』を探す
陣を書くある程度の広さと
木の精気が濃い場所
東洋から連なる卦術が
彼の得意とする所だ
−あった。
手印を結び『ぬん』と
気合いを容れる
伸ばした指の後を光跡が追う
そして
次の動きをしようと構えた時
目の前の林から
見慣れた姿が現れた
「…フリート…?」
銀色の影は珍しく
微笑んで居なかった
「こちらへ
城へ向かう馬車をそこに
転送輪の許可は出ています。」
「…て あれの許可出す責任者
フリートじゃん…。」
はは。と薄く笑うと
手に持っていた松明を振り
何かをこちらへと誘導する
「!」