空の表紙 −天上のエクレシア−


――――そして


「幽閉の事情は後だ。

…信じたくは無いが
兄王は弟君がやったのではと
言う噂もある
あれは事実か」



「はい。」


あっさりと答えるフリートに
白兎は瞼をきつく結ぶ



「……指揮したのは」


「私です」



ダン!!と強く
拳を壁に叩きつけたまま
白兎は吐く様に続ける


− 壁は球状に陥没し
亀裂が走った



「……前国王は確かに
女は好きだし!ナルシストだし!
困ったとこもいっぱいあったけど!
人を集める才角は抜群で
その辺に居た人間でも声かけて
仲間にする様な方だったじゃないか!
あんなやり方で
殺される様な人間じゃないだろう!

……俺は天涯孤独の身だけど

フリート
アンタには立派に家があり
金も、名誉も、全部持ってる!

弟王に手を貸して何の得があるって言うんだ?!」



しばしの静けさの後
鉄格子の窓から吹く夜風に吹かれながら
フリートは呟く



「…私が持っているのはね
家と、名誉と、
財産だけなんです
他には何も無い
だから 失う訳には行かないんです」


「意味が…わからないぞ フリート…。」



「貴方の方が
数倍私より色々な物を持っている
それがどれ程妬ましいか
考えた事はありますか…?」







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