空の表紙 −天上のエクレシア−
公園の憂鬱
「ばっきゃろおおおおおおおー!!」
無人の夕闇
灯は中央に一つしかない
打ち捨てられた様な
寂れた公園のベンチに座り
ルビナは思い切り足を蹴り上げる
一度店には
馬車を置きに戻ったが
家に帰る気にならず歩いていたら
いつの間にかここに来ていた
ぼちゃん。
「あ゛」
勢い良くすっぽ抜けたサンダルが
噴水の中に入ってしまった
流れは止まっていて
ただの巨大な水貯めだ
「…もー!!」
片足跳びしながら噴水へと向かうが
ふと立ち止まり右手を開く
外燈にキラキラと光る幾つもの金貨
「…いいじゃない
別に取りいかなくたって…
これでいくらでも買えるんだから…」
『口止め料』
…あたし、絶対言わないっていった
『袋をまちがった』
…うっかりさんにも程がある。
…そして
理由は、多分に三つ目の予想
解っていた
でもそこに行き着くのは嫌だった
…花をたくさんたくさん売って
祭の日にはこれが一枚
しかしイザベラが着ていたあのドレスの
裾すら買えるのか
いきなり目玉が熱くなった
暗い水面に
ゆらゆらとルビナの顔が映っている
時折波が立つのは
大量の自分の涙のせいだとは
気が付いていなかった
水面に影が重なる。
「ひ?!」
振り向くと
白い麻の服を着た
自分と同じ位の年の少女が立っていた