空の表紙 −天上のエクレシア−
アクアスは質問した
「サリュ…さん?
それからこのユピ君も
どこから来たの?」
サリュは
建物の影から
頭だけ出している黒い塔を指さす
「向こうから来たの?」
「うん 星をもらいに きた。」
「星?」
「うん。
これから取りいくから
いらなくなったら
それくれるって。」
(キザな事言う奴がいるもんだなあ…。
てか騙されてる?!)
「サリュも投げなよー!」
ルビナは元気に声をあげる
サリュへの呼び掛けは
もう呼び捨てになっていて
ルビナのおおざっぱというか
良く言えば人懐こい性格が伺えた
「うん」
サリュは水に足を差し入れたまま
後ろを向く
両手を挙げた
そしてアクアスは息を飲む。
雲間から
顔を出した月明かりと
水に反射された外燈の光に照らされて
麻の白い袖から
鈍く光る
一瞬見えたサリュの両手首
―黒い手枷
瞳を閉じ
微かに何か呟いたサリュ。
それが号令の合図の様に
アクアスは立ち上がり
駆け出した
「ルビナ!!サリュさんと一緒に
ここいろよ!
すぐ戻って来るから!!」
「えー?わかったー!」
(知り合いの店に行こう
あそこなら色々ある!
…絶対、外してあげなきゃ……