空の表紙 −天上のエクレシア−
澄んだ青空の下
男達の笑い声が響く
「わっははは!若いの!
腰に力をもっと入れい!」
「そうそう!両足をもう少し開け!」
「の゛あ゛ー!!
おっちゃん達は
ちょっと黙っててよー!
これ持つだけでも大変なんだぞ?!」
ジークは不規則に振るわれる大剣を
代わりに渡された長剣で
はじく様になぎ払う
「ちょ、ダメ。休む」
ゼイゼイと肩を揺らしながら
草はらに大の字で倒れ混む
柔らかく短い金髪が拡がった
ジークは『見所がある。』と思った
と言うより
彼の体相応の剣を使えば
相応やる筈だ
ヨピは俯せになりながら息を吐く
「ねえ、ジーク
これアンタの本刀じゃないんだね」
「なぜ。」
「握った感じ
柄の手擦りの跡がアンタの手じゃない…」
「大斧だ。」
「ジークの本剣?
あーねー。そんな感じ!」
ジークはヨピの横に
ドシリと腰を降ろす
「今修理に出している
戻って来たら手合わせするか」
ヨピの表情が一瞬変わる
そして微笑んだ
「約束。」
「ああ。」
− 鳥の声。
高い所を雲が流れて行く
風が彼らの汗を撫ぜて通り過ぎる
「…いい空だ」
「うん。」
この時の空が
彼らが見た
最後の『本当の青空』だった