空の表紙 −天上のエクレシア−
洞窟の声
突然だった
洞窟の中から激しい閃光が走った
一瞬気を失っていた様だが
体には傷が無いのを確認すると
奥へ走った
− 妙な光だな…
同じ様な者が
次々と後を追ってくる
「ジーク!」
「ヨピか。体は?」
「へーきっぽい。…何か光ったね。」
「ああ。」
洞窟の中程まで来ても
なんの変容も無い
先には幾つもの分かれ道
ジークは以前
兄王の、
この集落初討伐から同行している
道は覚えていた
「左だ。
右に行くとムカデがたくさんいる」
「うぞん。真ん中は?!」
「真ん中には大量の吸血蝙蝠
小さいが厄介だ」
「その横の細い脇道は?!?」
「さあ。
唄に謳われる様な化け物は
いないから安心しろ
あれはプロパガンダだ
…行った事は無いが
族長の話だと
壁一面にヒルが張り付いているらしい」
「ひーーー!!」
−サッと
人影が動いたと思った。
言うより先にヨピが影が窪みに走る
「…ジークう!困ったーー!」
「? どうした。」
−ヨピに促され現れたのは
数人の子供達
幼い子供達はジークの巨躯を見て
いきなり泣き出した
「…困った。」
「うん。」
ヨピはそれを見てクククと笑う
その中で一番大きな少年が頭を下げる
「…黙って入ってごめんなさい
俺達、虫を採りに来ただけなんです。
ここにはすっげえ虫がいるって
聞いたから…」
「…虫か。」
この地域の少年達は
こぞって強い虫を捕まえ
闘わせる遊びをする
自分も幼い頃、一度通って来た道だ
「あの、さっき
何かすごい光ったんだけど何かあったんですか?!」
妙だな…と思った。
少年に問う
「なんともないか。」
「 ? 」
「…ならいい。ヨピ、戻って貰えるか?」
「あいよーん!
はいお嬢ちゃん泣かなーい。
お兄ちゃんが抱っこしてあげ…」
その時
今度は激しい爆風を伴って
閃光が炸裂した