空の表紙 −天上のエクレシア−
それは奇妙な光景。





歩いて

来たのは


薄暗い洞窟の中
暗い緑の光に包まれて

聖堂の女神様みたいに
子供達を抱き護る







―――――悪魔。




紅い鍵爪の付いたその手が
こちらへ、ゆらり、と伸びる



『キミ名マ゛エー…、
なんてぃウんだっケ…?』



「ノアール…」



『だぃ慈ょウぶ…じいくはか・
ならずオレが助け出すから。
岩や瓦礫は、それ程落ちてないし
ノアール゛はあそこにあるトロッゴに
皆乗せギュルだ連れ蛾ギュル
ギュルギュルギュル…………あ
゛れ゛?…オレ声、変じゃナ異?
通じてル?」



ノアールは頷くとそちらへ向かう


洞窟の脇に
真っ直ぐ出口へと向かうトロッコ

かなり小さいが子供3人なら平気だろう
滑車の止め金を外し

外し


…手が震えてうまく外せない。


そのうちに頭に激痛が襲って来た

しかしノアールは力を振絞り
友達を
その子供達を乗せる

そして思いきりそれを押し

滑走して行くのを確認すると
頭を抱え、小さく悲鳴をあげ
2、3歩進み
その場に倒れた −




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