空の表紙 −天上のエクレシア−
理由と爪痕
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「夜分にすみませんマナさん!
アクアスです!!
お願いに来ました!」
皆が屋上にいる、この建物の一階には
『銀細工・マナ』があった
剣の柄の飾りや
細かい修理等も
やってくれる
ガシャリと錠が開き
明かりが付いた
中から金髪美女が現れる
「あら。
どうしたんです?大慌てで
先程、公園に
いらっしゃいませんでした?
お声かけようとしたんですけど
楽しそうにしてらしたので…」
マナは
『ふふ』と笑みを漏らす
「あ〜…。と、
とにかく急いで
厚い鉄板切る様な物貸して下さい!」
「あら、手錠でも外すんです?」
「…見たんですか?!」
「…え? 」
…ギクっとしたじゃないか…
ほんのりした雰囲気と裏腹に
この人はいつも
驚く程勘がいい
「あ〜…いや!
ふ、古い罠に間違って
掛かった奴がいて!
開かないから切るしか無いって
事になって〜!」
「あら〜。
それは大変!お待ち下さいな〜」
しばらく待って出て来たのは、
何か詰まった、手作りの袋
かなりの大道具を
万力鋏やらを抱えて出て来るのを
想像していたから
アクアスはもう一度説明しようとした
すると
口許を綺麗な指先で押さえられた
「…あれは闇鋼鐵で造られているから
道具で切るのは無理ですよ」
それだけ言うと
マナは微笑んで中に戻る
ガラスの扉越しに
唇だけで『ご武運を。』
アクアスは
しばらく呆然としていたが
あらためて、袋の中を確認すると
−消毒薬、塗り薬、包帯、
白パン、林檎とチーズ、
そして、ひとふりの
小さなナイフ
それ用の、尻の金具にナイフを挿し
閉まった扉に向かって
アクアスは足を揃え
深くおじぎをした
元来た道を猛烈に走る。
(…しかし
マナさんて何者だ…?