空の表紙 −天上のエクレシア−
―王宮―
そこは
薔薇の香りと宝石の光に満ち
靴が気持ち良く埋まる
赤い絨毯
目も眩むばかりの、
世界中から集められた調度品
広間で毎夜開かれる舞踏会
そしてその人間以外は
触れる事も許されない
段上の見事な玉座
しかし部屋は今薄暗く、
がらん…としている
王座を照らす物は、数本の燭台だけ
人払いをしたらしく
広い王室には
二つの声だけが響いていた
「…お加減はいかがですか?国王陛下」