空の表紙 −天上のエクレシア−
−屋上から
階下を見下ろし
逐一報告をしているノアール
「皆 アクアスいっちゃうぞ
なんか相当慌ててるぜ?」
そう言って壁に乗上げて見ていたが
いきなり叫んだ
「おい!何か黒いのがいる!」
−走るアクアスの後ろを追う影
「ひとりじゃないねー。
…3…4…また行った
軍の闇兵か…」
そう言うと
オデッセイの瞳が碧から赤へ
光彩が、縦に変化する
「おや オデッセイ
小指の指輪はどうした」
「え。あー。あげたぁ」
「女か」
「うん♪」
「即答するな馬鹿者」
「だあってさー。
あんなトコに閉じ込められてて
可哀相だったんだもん
いい子だったしー。
うまく逃げれたかなあ…。」
「指輪ってこれか」
いざと言う時の
目くらまし用の薬品が仕込んである
ジークもノアールも
同じ物を指に付けていた
「まあいい
また作るよ。
皆、入るんじゃないよ」
そう言ってガラは小部屋の扉を閉める
「…こないだ部屋で
爆発させてた奴だな。」
ジークが呟いた
オデッセイは
つ。 と軽く跳ねると
屋上の魔法壁を擦り抜け
そちらへと翔ぶ
ノアールも慌ててガラの籠った
部屋を叩いた
「こらばーさん!俺を外へ出せ!
急げ!早く!」
そう言うと、すぐ足元に魔法陣が現れた
ノアールは光の輪に飛び込むと
来た時と同じ地下の入口を
駆け上がって外に出る
一瞬、辺りを見回し
ニヤリと笑って
尋常ではない加速をする
ジークは少しの間
屋上からそれを目で追って見ていたが、
ゆっくり部屋へ戻ると
辺りを見渡した
「…ガラ これ借りてもいいか?」
「へ? かまわないが…
何に使うんだい
建国祭用の仮装グッズなんて」