空の表紙 −天上のエクレシア−
(ここ公園…だよね?
ルビナがさっき噴水で遊んでいた時と
景色は何の変わりも無い
木があってベンチがあって
外灯があって…
噴水の水飛沫の音だけが響く
(なのに
なんで空気がこんなに怖いの…?
サリュに手を掴まれ
その場から離れようとした。が、
− 幾つもの黒い影に
もう捕り囲まれていた
黒光りした兵士達は腰を落とし
金属音を微かにさせながら
円状に場を狭め近付いて来る。
「ななな、なんなのあんた達!」
ルビナは思わずサリュにしがみ付く
サリュは微動だにせず
前を向いていたが
静かに、口を開いた
「…ごめん。わたしのせい。」
「へ?!」
「わたし、
この人達につかまって、
ずっと塔にいたの。」
「ととう?!塔て何?!」
「…ごめんなさい!サリュ様!」
いきなりユピが叫んで
剣の切っ先を
黒い兵達に向け立ちはだかった
「…道すがらずっと
サリュ様の動向を、伝えていたのは
私ですっ!
…恩が在ったのです…。
あの方は、一族の村から出て来て
右も左も解らなかった私に
様々な事を
『騎士とは何たるか』を
優しく教えて下さいました…。
でももう…
私は、サリュ様の
あんな笑顔を見てしまった…。」
ユピはサリュを見上げ、ニコリと笑う
「私の最初で最後の勇姿、
見てて下さいね。
……わあああっ!!!」
小さな体を奮わせて黒兵の足元に切り込む。
「 ユピ!! 」