空の表紙 −天上のエクレシア−


他の兵士よりかなり小さな体躯

黒のツインブレイドを構える姿が
何だかぎこちない

ひょっとしたら実戦は初めてなのか


―自分と同じ―

妙な親近感が湧いた。
…しかしそれでも向こうは
闇兵。今斬らなければ


闇兵は緩く武器を回し始め
近付いて来る


(…恐らくあのツインも
闇鋼鐵だ。
回されたら体なんて八裂きだな…

しかし回転武器の弱点は
体に入られた近接戦
安定する前に間合いに入れば…!

『っ!』

闇兵が怯む。

ノアールの投げた石が
手首に強く当たり回転が止まった

自らの武器の反動に
体が前後に揺さぶられている


「―よし!!」

交差する腕の下に剣先を挿し
思いきり弾き上げる

するとその瞬間
闇兵のがら空きになった体の中央に
ノアールは突っ込むと
足で蹴り倒してその場に押し倒した

『きゃあああ!!』

「え…」

甲高いその叫び声は
闇色のマスクから放たれた。


「お、女…?!」


拍子抜けしてその場で固まるアクアス

それとは逆にノアールは喜々として
ステップを踏み、闇兵に近付く

「…やーっぱりな」





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