空の表紙 −天上のエクレシア−
…そうだ あの日も
こんな風に暑くて…
俺とロルカは…
山道を皆で、歩いていたんだ…
年はまちまちだが
元気いっぱいの少年達が
全員虫カゴを下げて、腕を振って歩いている
その中でも一番小さな
紅一点の少女だけが座り込み
泣き声を上げていた
「もうつーかーれたー!」
「んなーっ!
だからロルカは、ついてくんなって
言ったんだろー!」
「う…うぇえええ!!
ノアールのいじわるうぅ!!!」
―計画が狂った―
今日から学校は夏休みだ。
計画はいっぱいあった。
手始めに休みの最終日に開かれる、
『格闘・激闘!虫コロシアム』
に出る用意をする事。
将来性ある虫を捕まえ
休みの間に鍛え上げる。
ずーっと勝って来てたのに、
去年は隣りの学校の奴等に負けた。
死ぬ程くやしかった。
『いい虫採れる所教えてやるよ
でもお前らに行けるとは
思えないけどね〜。』なんて
捨て台詞も吐かれた。
殺したくなった。
でも人に聞くのも絶対嫌だ。
だから自分で調べた。
―――――――――
「でさ…
そのでっけー虫が
いっぱい居る森ってどこにあんの?」
「途中までは
馬車でも行けるけど、かなり歩くよ。
俺も村近くにじーちゃんの家があって、
一回連れてって貰っただけだもん。
地図のここが街で―
こっから…ここでしょ?」
「うん。」
「でも危ないし…ほんとに行くの?」
「行く。ぜってー行く。死んでも行く。」
「ぎゃはは!」
俺は町外れの空き地に作った
秘密基地で機密書類(地図)を
受け取った後、
同行する奴を募った。
皆あれにはくやしい思いをしたから
すぐに乗って来た。
「行こうぜ!!」
「おー!!!」
母さんには釣りに行くと言った。
どこに行くかなんて
いつも言った事無いけど
なんとなく言った。
−溢れる人波。
外門の外では
たくさん乗り合い馬車が待ってる
そこで皆待ち合わせだ