空の表紙 −天上のエクレシア−
(いろんな音がしてる!)


街は、夏になればどっと
出店や、色んな地域から
街道芸人の一座がやって来て
連日祭の空気に溢れる

「大根漬け!あまーい大根漬けはどうだい!?」

「さあさあ!夏一番のお楽しみ!
第二幕『青の王・大ムカデと戦う!』は
そこのテントの中でもうすぐ開幕!
愛用の東洋の刀一本で、
王は如何にして怪物に立ち向かうのか!
そして訪れる危機とは!!」

(超見てぇ…


持って来た小遣いで
ハッカの粉が入った笛を買う


ふと、
横の店を見たら気になる物が

煉瓦の地面に敷かれた布の上に
鉄砲や剣。

店の親父が声をかけてくる

「お兄ちゃん、
こりゃ出来がいいぜ。
ホンモンの武器職人が
子供にこさえたモンなんだ。
って俺なんだけどな。へへ。」

「へえ!」

(本当だ。
オモチャなのはわかってっけど
ちゃんと玉も撃てる。
かっこいいな


「おっちゃん!これもらうよ!」
「毎度!」


(これから行く森に、
どんな敵が現れるか解らないしな!

嬉しくなって駆け出した時















「?!」

―なんだか一瞬
全ての音が全部消えた気がした

びっくりして後ろを振り向く





…ザワザワザワ…

「青の王サイン入りポスターは
こちらですよー!」

「あ!ノアール来たー!
こっちこっちー!」


―音が消えたのは一瞬だった
強い風に向かって走った時
そんな事がたまに起きる

「…」

「どしたんだよ。」

「…いや。なんでもねー。」


首から下げた水を
グイと飲み空を仰ぐ


−とにかく、虫捕りだ。





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