空の表紙 −天上のエクレシア−
――――――イザベラは
誰かを捜していた
(ピッキーノが居ない…
うたた寝して目覚めたら
ベットの主が消えていた
呼び鈴を鳴らし召使を呼ぶ
「はい。御用でしょうか。」
「うあ!?
は、早いな ピッキーノはどうした?」
「…申し訳ありません。
わたくしはお見掛けしませんでした。」
「…そうか。どこにいったんだろう…。」
「お夕食のご用意が出来ております。
食堂の方へ。」
「ああ。わかった」
屋敷を少し捜してみようかとも
思ったがやめた。
子供の頃知らず迷って
妙な部屋に入り
出られなくなった事があったからだ
…暗い闇の中で座り込み
泣きじゃくるわたくしを見付け
助け出して慰めてくれたピッキーノ…。
白い歯とタイツが輝いて見えたのを覚えている…。
ピッキーノの部屋を出て
明るい廊下を
このまま真っ直ぐ行けば食堂だ
「ん?」
右手には暗い廊下が伸びているのだが
奥の部屋の扉の隙間から
僅かに明りが洩れている
確かピッキーノの
古い衣装部屋などがあったはずだ
(暗いのは苦手なのだ…わたくしは
恐る恐る扉を開く。
「ピッキーノ?いるのか?」
…返事がない。
ついと入って部屋を見回す
やはり衣装部屋の様だ
幾つもの豪華な服が
所狭しと並んでいる
「おや…」
ひとつの服に目が止まって嬉しくなった
(これはだいぶ以前に
わたくしが贈ったオンゴロ大王朝風マント…
大事に扱ってくれている様だな…。
触れようとした時物音がした