空の表紙 −天上のエクレシア−
「答えなさい アクアス」
フリートは器用に
葉から茶を煎れると、
マイゼンと呼ばれる白い陶器のカップを
アクアスの前にスッと勧めた
フリートもこんな風に
何時もただ、穏やかなわけでは無く
博識で、
皆の尊敬を集めている軍きっての切れ者だ
戦闘でも感情を出さず、
ただ目標を撃破して行く
しかも周りの兵士へも目を配りながら
伯爵家の出で、
以前
自宅の森で採れた物だからと
配られた果実は、
広大な土地が無ければ育たない物だと、
農家出身の兵士に教えられ、
皆で感嘆の声を上げた
フリートの個室
壁を覆う様な、重装な本棚が並ぶ中
大きな椅子に
一人座らされたアクアスは、
状況も相俟って、
酷く縮こまって見えたが
態度だけは不満そうに足を開き
両膝に手を置いて、
二人から顔を背けていた
『自分は当然の事をしただけだ』
そんな空気が漂っている