空の表紙 −天上のエクレシア−
斧が地面を割る
『じゃあな。』と言う声と
ドーム状の衝撃が走る−
と思った時には
全てが終わっていた
立ち上がる土煙に揺れる風景を見て
アクアスは唖然とする
衝撃の範囲内には草一つ残っておらず
累々たる闇兵「らしき」塊が散らばっていた
―ふと気付く
(何故、俺は無事なんだ?!
…チリチリと音がする
―緑色の光の壁が
アクアスを中心にして
馬車の辺りまでを薄く覆っている
(魔法…壁…?
へたり込むアクアスの横に佇む
見覚えある黒いローブ
彼が拡げ差し出していた腕を下げると
その膜の壁は瞬時に消えた
「き?!貴様はオデッセイ!!」
黒い髪をかき上げ
アクアスを一瞥する事無く
彼は馬車に歩み去る
ルビナはサリュに覆い重なる様に
気絶していた
オデッセイは
軽く幌の中に乗り上がると
両手でルビナの顔を支えて
親指で目を開き、覗き込む
「ルビナは…へいき?」
サリュが起き上がり声をかけた
「ん。塔から逃げれたんだね。
よく出来ました。」
オデッセイはサリュの髪を撫ぜる
サリュも彼の瞳を見つめ
嬉しそうに微笑んだ