空の表紙 −天上のエクレシア−

――――――――夜の街路地


街灯もまばらな裏町のそこを
トボトボと戻るアクアス
正装した鎧の中で
何だかチャプチャプ音がする…。

薄暗い看板や暗い明かりしか
灯っていない家々を眺めながら思う

(…これだけの騒ぎで
誰も見に来ないなんてな…
まあここは喧嘩なんて
日常茶飯事なんだろうな…
ルビナ置いて来たし
一度とにかく戻るか…

自分は近衛下級三隊天士。
市民の生活を監視し守る役にある

「あれ?」

暗闇だった公園に松明の明かり

兵の軍勢が
ザワザワと地面に布を掛けたり
袋を持ち忙しく立ち回っている

「…誰か知らせたのか?」

「アクアス」

肩をポンと叩かれる

「フリート隊長!」

「…?
どうしました?そんなに驚いて」

「え!…あ〜…。」
アクアスは無意識に拳を握る

(見られたかな 兄貴…

「聞きましたよ。
闇兵部隊から市民を果敢に守護したと。
素晴らしい働きです
ここに倒れていたお嬢さんは
救護テントに
意識もすぐに戻るとの事です」

「あ!はい!ありがとうございます!」

「寸出の所でした…。
この闇兵達は怪僧白兎に煽動され
街に火を放とうとしていたのですよ」

(…え?

「は……え?!
シロウあ、いや。白兎様がって…。
そんな馬鹿な!!
あの人は街の人と仲良くて…
まさか火なんて!」

思ってもいなかった結末に
考えがまとまらない




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