この世界は、真夏でできている。
更衣室に案内され、渡されたシャツ、エプロンを持参のジーンズに合わせる。

これだけで、自分も今日からカフェ店員だ、とはっきり実感するほど

ガラッと雰囲気が出るものだ。

カーテンを開けると、2人が「おぉ〜」と声を揃える。

なんだか恥ずかしくなって、涼しい部屋なのに変な汗が出てくる。

「様になってるね、じゃあ早速表出てみよっか。
はい、これ持って〜」

(いきなり!?)と、まだ心の準備も整ってないまま

渡された小さなスマートフォンをそのまま受け取る。

先程入ったドアから出て、改めて店内を見回すと

思ったよりお客さんが多く入っていることに気がつく。

周りの目が、僕を見ているような気分になってまた緊張が上がる。

手を洗い、先にキッチンの方から通り中の人たちへ挨拶する。

同年代の子が多く、みんな和気あいあいとしていた。
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