この世界は、真夏でできている。
なかなかきつい坂を登り、せっかくわざわざ登った坂をまた下ったところにある。

そこは私たちが出会い、会話を交わした、

“私たち”が生まれた場所だ。

近くに神社が存在して、その緑がそこからもよく眺めることが出来た。

門を入った場所に、日本の大きな桜の木が私たちを迎えてくれる。

私たちと、東希も含めた4人の母校の小学校だ。

近所にあるのに、卒業してから目の当たりにするのは初めてだった。

「入って平気なのかな」

「んー…まぁ、卒業生って事で、OKっしょ」

私は僅かに開いた門をさらに引き、僕の手を掴んだ。

「行こ!」

わっ、と声を上げ、僕はそのまま彼女の腕に引かれる。
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