この世界は、真夏でできている。
彼女の瞳は、ずっと、きらきらした世界を見ているようだった。

彼を見つめる瞳が。

「彩絵って、黒羽のこと好きなの?」

問いかけたのは、皆が解散して帰路に向かっている最中であった。

彼女は目を丸くしていた。

嘘をつくには、とても下手くそな光を放っていた。

彼女の返答は、予想よりも遥かにずっとあっさりしていた。

私の疑いや茶化しを含まない瞳に、これ以上逃れられない、といった様子で、彼女はうん、と放った。

高校に入学してすぐの頃から、約2年間だそうだ。

「でも、」

彼女の瞳の色が、変わった。

「黒羽は…イギリスに留学しちゃうから」
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