この世界は、真夏でできている。
私は訳が分からなぬまま、

こっち、と言いながら私の腕を引く彼と、

本来の帰り道から右路地へ入り、

少し外れた道へと進んで行った。

今となっては私にとっても全然近所であったが、

小学生の私にとってその道は、

今まで通ったことの無い全く知らない道で、

どこかものすごく遠くへ向かっているような気がしていた。

彼に腕を引かれながら夕日の方へ近づいてゆく。

もしかしたら彼は、夕日への入口をも知っているのではないかとさえ思った。

私はやっとここで、

「どこ行くの?」と問いかけた。


「冬だと暗くなるのが早いから、

この時間が一番綺麗なはずなんだ」

通り越す公園の時計で、

一瞬だけ時刻を見た。

その時の時間は、だいたい16:20分ほどだった。

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