この世界は、真夏でできている。
先程まで星を反射していた湖が、たくさんの赤い光に覆われていく。

あちこちでわぁっ、と声が上がるのが聞こえる、ような気がする。

私は、周りの音が耳に入らなくなるほど、その光景に魅了された。

視界いっぱいに広がるその光に圧巻され、ただ、声も発さずに見つめていた。

思わず涙が零れそうになるほど、その光景は今まで見たことないほどに美しかった。

やっと落ち着いて我に返り、隣を見る。

こちらに気づいたようで、優介は私を見つめてはにかんだ。

目の前の光が、彼の瞳に反射して、暖かかった。

その時、後ろから女子高生2人に声をかけられた。

「すみません、写真撮っていただいてもいいですか?」

私はもちろん、と返事をして彼女たちを灯篭を背景に写真を撮る。

「ありがとうございます!もしよかったらお姉さんたちも撮りますよ」

私たちは目を合わせ、お願いすることにした。
< 120 / 231 >

この作品をシェア

pagetop