この世界は、真夏でできている。
狭い路地を歩み、だんだんと赤い光で外壁が染まってくる。

そしてその路地を抜けると大きな階段の頂上についた。

見たことのなかった景色が、私の視界を覆い被さったのだ。

たった12年しか生きていないが、

この12年間住み慣れたこの街は、こんなにも、

美しいものだったのかと思い知らされた。

いつのまにかここは、山の上に立地し、目の前の下りの階段は長く、長く続いている。

私たちの小学校や、遠くにはみなとみらいのランドマークタワーが

はっきりと鮮明に輪郭を描いていた。

少し左の方へ目をやれば、小さく富士山も見えている。

何より目の前に広がる大きな空は、私の心を大きく揺さぶった。
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