この世界は、真夏でできている。
❁⃘

藤原東希が亡くなったのは、中学3年生の夏真っ只中の事であった。

彼とは、何かと縁が多かった。

母親同士が仲良い故か、小さい頃はよく一緒に遊んでいたいわゆる幼なじみで、

小学校、中学校までずっと一緒だった。

小学校4年生の時、私は瑠夏と優介と同じクラスになった。

彼らの仲の良さは、誰が見ても一目瞭然であった。

(なんか、いやだな…)

2人の仲の良さを見せつけられているようで、初めはあまり好かなかった。

瑠夏は学校でも有名な泣き虫で、優介はいつも泣き止ませるために慰めて着いていた。


「澪良さん、悪いんだけど…この体験学習のしおり、ホッチキスで纏めておいてくれない?」

給食を食べ終えて掃除の時間が始まるまでの休み時間で、

急に担任からそんな頼まれ事をした。

彼女の机には、クラス全員分のしおりがずらっと、縦に伸びていた。

同じ体験学習の係だった松山は、今日は欠席していた。

「えぇ、だって今日松山休みですよ…?」

「そこをなんとか、ごめんね、先生も手伝いたいけど今日職員会議なのよ、

終わったらすぐ手伝いに行くから」

断れるはずもなく、私は渋々はい、と答えた。
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