この世界は、真夏でできている。
「…ありがとう」

自分でも腹が立つくらい、小さくて、ひねくれた声色だった。

彼女は、あの噂の泣き虫とは思えないほど、屈託の笑顔で笑った。


その日からだった。

私が彼らについてまわるようになった。

正直、勝手に着いていっていただけかもしれない。

それでも2人は、私を当たり前のように受け入れて、

2人から3人になってしまうことに、なんの違和感も、嫌悪も見せてこなかった。

ずっと、彼女のようになりたくて。

ただ憧れで、2人がただ、好きだった。
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