この世界は、真夏でできている。
冬の空は空気が澄んでいるから

透き通って空がより美しくなる。

日の入りが早い冬は16時から16時半頃、

つまりまさにたった今のこの時間が、

一番美しい時間なのだと彼は言う。

上の方が深い藍色で、日が沈んで行く下の方は橙色で空がめいいっぱい染められていた。

「すごい…」

思わず漏らした声に、彼は私の顔を見た。

彼の笑顔は、夕日に照らされ赤く染っていた。

私の頬が赤く染っているのはきっと、夕日のせいだけでは無かった。

今、夕日を前にしていることをありがたく思う。
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